プロダクトとブランドの関係性 パート1
目次
【第1部】料理よりも店の世界観が重要 – 飲食店のインスタグラム運用の本質
毎日美味しそうな料理写真をインスタグラムに投稿しているのに、なぜか思うような反応が得られない…そんな悩みを抱える飲食店オーナーやスタッフは多いのではないでしょうか?この連載記事では、インスタグラム運用の成功に欠かせない「プロダクト(料理)」と「ブランド(お店の世界観)」の関係性について解説します。

- 第1部:料理よりも店の世界観が重要 – 飲食店のインスタグラム運用の本質(本記事)
- 第2部:お客様の選択心理を理解する – ブランド優先の脳のメカニズム
- 第3部:プロダクトとブランドの関係性を活かした飲食店のインスタグラム戦略
- 飲食店において、料理(プロダクト)はブランドを構築するための「手段」に過ぎない
- お客様は、単なる料理ではなく「お店での体験や世界観」を求めている
- インスタグラムでは料理写真だけでなく、お店の世界観を表現することが重要
あなたも抱えているこんな悩み
- 「毎日美味しそうな料理写真を投稿しているのに、なぜかいいねが伸びない…」
- 「同じような飲食店と似たような写真を投稿しているのに、なぜか競合の方がフォロワーが多い…」
- 「新メニューの情報を発信しているのに、来店につながらない…」
こんな悩みを抱えている飲食店オーナーやスタッフの方は多いのではないでしょうか?実はこれ、多くの飲食店がインスタグラム運用で陥る共通の罠なんです。その根本原因は、「プロダクト(料理)」と「ブランド(お店の世界観)」の関係性を誤解していることにあります。
重要な気づき:お客様が買うのは料理ではなくお店の世界観
多くの飲食店オーナーは「良い料理を作れば、お客様は来てくれる」と考えがちです。確かに料理の品質は大切ですが、現代の消費者心理はそれだけでは動きません。
重要なポイント:お店にとって料理(プロダクト)は大切ですが、それはブランドを構築するための「手段」に過ぎません。
お客様は見た目上、料理を注文しているように見えますが、実際には「お店の世界観」を購入しているのです。つまり、お客様は:
- 単なる「カレー」ではなく、「あのお店でのカレーを食べる体験」
- 単なる「コーヒー」ではなく、「あのカフェの雰囲気の中で味わうコーヒータイム」
- 単なる「握り寿司」ではなく、「あの寿司職人の技と物語」
を求めているのです。
プロダクトとブランドの関係性:飲食店の場合
飲食業界におけるプロダクトとブランドの関係を整理すると:
- プロダクト(料理):メニュー、味、見た目、価格など
- ブランド(お店の世界観):空間、接客、ストーリー、価値観、雰囲気など
多くの飲食店が莫大な努力を料理の品質向上に注いでいますが、良い料理を作るだけでは競争に勝ち残っていくには不十分です。どれだけ美味しい料理を提供しても、その料理がお客様に選ばれなければ意味がありません。そして、料理が選ばれるためには、まずブランド(お店の世界観)が選ばれなければならないのです。
インスタグラムにおけるプロダクトとブランドの関係性
インスタグラムでよくある間違いは、料理(プロダクト)だけを前面に出してしまうこと。しかし成功している飲食店のアカウントを見ると、料理写真だけでなく、お店の世界観(ブランド)を表現する投稿が多いことに気づくでしょう。
例えば:
- 単なる「本日のパスタ」ではなく「シェフのストーリーとともに紹介されるパスタ」
- 単なる「コーヒー写真」ではなく「朝の光が差し込む店内とコーヒーの組み合わせ」
- 単なる「料理メニュー」ではなく「お店が大切にする価値観を伝える投稿」

このように、プロダクト(料理)をブランド(お店の世界観)の中に位置づけることで、より強い印象と共感を生み出すことができるのです。
なぜブランドが先でプロダクトは後なのか?
人間の脳は不思議なもので、料理(プロダクト)を選ぶ前に、まずお店(ブランド)を選ぶようにできています。具体的には、選択の順序は以下の通りです:
「カテゴリー選択」→「ブランド選択」→「プロダクト選択」
飲食店の場合:
- まず「和食、イタリアン、カフェ」などのカテゴリーを選ぶ
- 次に「どの店(ブランド)に行くか」を選ぶ
- 最後に「何を注文するか(プロダクト)」を決める
この順序を理解すると、なぜインスタグラムで料理写真だけを投稿しても効果が限られるのかが見えてきます。お客様はまず「どのお店に行くか」を決め、その後に「何を食べるか」を考えるからです。
実践事例:成功している飲食店のインスタグラム
人気カフェチェーンのブルーボトルコーヒーのインスタグラムを見てみましょう。彼らの投稿は単なるコーヒーの写真だけではなく、以下のような要素が含まれています:
- 店舗の洗練された空間デザイン
- コーヒー豆の生産地や生産者のストーリー
- バリスタの技術や情熱
- 日常の中でコーヒーを楽しむ文化
これらの要素を組み合わせることで、単なる「コーヒーショップ」ではなく、「特別な体験と価値観を提供するブランド」としてのイメージを確立しています。

第1部のまとめ
飲食店のインスタグラム運用で成功するためには、「料理(プロダクト)」と「店の世界観(ブランド)」の関係性を正しく理解することが重要です。
- 料理はお店の世界観を表現するための手段である
- お客様は料理だけでなく、お店の世界観や体験に価値を見出している
- インスタグラムでは料理写真だけでなく、お店の世界観も伝えることが大切
次回の第2部では、お客様の選択心理とブランド優先の脳のメカニズムについて解説します。お楽しみに!
- 第1部:料理よりも店の世界観が重要 – 飲食店のインスタグラム運用の本質(本記事)
- 第2部:お客様の選択心理を理解する – ブランド優先の脳のメカニズム
- 第3部:プロダクトとブランドの関係性を活かした飲食店のインスタグラム戦略

名古屋の飲食業界で商品開発や販促に15年携わる。現在はスイーツECを展開しつつ、飲食・EC向けに撮影を通じたビジュアルマーケティングを支援。
食と空間の魅力を引き出すためのブランディングや販促のヒントを発信中。