飲食店のメニュー写真・見せ方の心理学 パート3

飲食店 撮影

飲食店のメニュー写真・見せ方の心理学

 SNSとメニュー作りへの応用

パート2の振り返り:前回の記事では、「パッケージ状態」の写真を好む様々なタイプのお客様の特徴と、それぞれに対する効果的な対応法を解説しました。発見を楽しむ人、想像力豊かな人、美しさを重視する人など、多様なお客さまに合わせた工夫が大切だとわかりました。

写真の活用:SNSとメニュー作りへの応用

1. 「食べているシーン」を見せる効果

商品そのものより、体験を見せる
  • 記憶に残る体験:お客様は「料理」より「食事体験」を記憶します。SNSでは料理の写真だけでなく、「取り分けている様子」「箸で持ち上げる瞬間」「ソースをかける瞬間」など、体験の一部を見せることで印象が強まります。
  • 共感の引き出し方:料理を楽しむ人の表情や仕草を含めた写真は、見る人に「自分も同じ体験をしたい」と思わせます。家族や友人との食事シーンの写真は、特に共感を生みやすいです。
  • 自分を重ねる演出:年齢や雰囲気が似たモデルを使った写真は「自分だったら」と想像しやすく、来店意欲を高めます。季節のイベントや特別な日の演出写真も効果的です。

SNS活用のコツ
  1. Instagram ストーリーズでは「料理が提供される瞬間」や「食べ始めの瞬間」の短い動画が効果的
  2. 投稿には「#食べるときのお約束」「#絶対外せない一品」など行動を促すハッシュタグを活用
  3. お客様の投稿(料理を楽しむ姿)を許可を得てリポストすると信頼性が高まる

2. メニュー表現の工夫

わかりやすさの追求
  • 情報の整理:メニューの写真と説明を見やすく整理することで、お客様の選択がスムーズになります。主要な料理は大きな写真で、サイドメニューは小さな写真でまとめるなどの工夫が効果的です。
  • 決断しやすさの工夫:「人気メニュー」「シェフのおすすめ」などの表示は、選択に迷うお客様の決断を助けます。また、料理の特徴や素材を簡潔に示すことで、イメージしやすくなります。
  • アレルギー・好みへの配慮:主要な材料や調理法をアイコン表示するなど、一目でわかる工夫があると、お客様の不安が減り、スムーズな選択につながります。

考察:飲食店でのメニュー写真活用法

写真の使い分けで客層を広げる

  • 多様な写真の組み合わせ:「料理そのもの」「食べているシーン」「パッケージ状態」など、様々な角度からの写真をバランスよく使うことで、幅広い客層に訴求できます。
  • 時間帯による使い分け:ランチタイムは「わかりやすさ」を重視した写真、ディナータイムは「雰囲気や体験」を強調した写真というように、時間帯によって写真の使い方を変えると効果的です。
  • 感情を優先した表現:栄養価や値段の情報も大切ですが、「ほっとする味」「懐かしい味わい」など感情に訴える表現を加えることで、お客様の心を動かします。

効果的なメニュー写真の活用法

  • SNSとメニューの一貫性:お店のSNSとメニュー表の写真のトーンや雰囲気を統一することで、お客様の期待と実際の体験のギャップを減らし、満足度を高めます。
  • 定期的な更新:季節メニューや期間限定品は、「今だけ」の特別感を強調した写真で紹介すると、再来店の動機づけになります。
  • お客様の写真の活用:お客様が投稿した写真(許可を得た上で)を活用することで、リアルな食事体験を伝えられます。これは新規のお客様に強い信頼感を与えます。

全体のまとめ

メニュー写真の見せ方はお客様の選択に大きな影響を与えます。多くのお客様は「食べているシーン」「中身がわかる」「食感が伝わる」写真に惹かれます。一方で、パッケージ状態や完成前の写真を好む独特の価値観を持つお客様もいます。

お店の特徴や提供する料理の性質に合わせて、これらの心理を理解し、効果的な写真の使い方を工夫することで、より多くのお客様に訴求でき、満足度と売上の向上につながります。最も重要なのは、写真を通じて伝える「体験価値」と「期待感」です。お客様が写真を見て想像する体験と、実際の体験がつながるよう心がけましょう。

さらに、写真の撮影技術だけでなく、使い方や組み合わせ方にも工夫を凝らすことで、メニュー選択率の向上、客単価の増加、再来店率の改善など、ビジネス面での成果につなげることができます。今日からでも実践できる小さな工夫から始めてみましょう。

実践ポイント

  • プロのカメラマンに依頼するだけでなく、スマホでの撮影技術も向上させましょう
  • 写真の更新頻度を上げ、常に新鮮な印象を維持しましょう
  • 料理だけでなく「人」や「体験」を含めた写真も積極的に活用しましょう
  • お客様の声や反応を集め、どの写真が効果的か定期的に検証しましょう
  • 競合店の写真表現も研究し、差別化できるポイントを見つけましょう

関連記事一覧