【飲食店集客のカギ】光と食欲のメカニズム:視覚心理学から読み解く「美味しさ」の正体

飲食店 撮影

こんにちは。

前回の記事では、同じ料理写真でも暖色系の光(A)74%の方が「食欲をそそる」と回答したアンケート結果をご紹介しました。飲食店のSNSマーケティングにおいて、この数字が示す重要性は計り知れません。

今回は科学的根拠に基づいて、さらに踏み込んだ内容をお届けします:

  • なぜ暖色系の写真は売上に直結するのか?
  • 視覚心理学から見た「食欲」と「色」の関係性
  • 研究結果が示す「光の色」が顧客心理に与える影響
  • 飲食店マーケティングに応用できる実践的な知識

🧠 飲食ビジネスの要:視覚は食欲に最も影響を与える感覚である

飲食店経営において最も重要な事実の一つをご存知でしょうか?私たちが「食べたい」と感じるとき、五感すべてが関係していますが、その中でも最も影響力があるのが視覚なのです。

研究データ

複数の食品マーケティング研究によると、食欲の約70%以上が視覚からの情報に基づいているとされています。これは味覚や嗅覚よりも高い数値です。

つまり、見た目が「美味しそう」に見えなければ、実際にどれだけ美味しくても顧客の心は動かないことを意味します。飲食店がSNSマーケティングに力を入れるべき理由がここにあります。

この視覚の中でも特に大きな役割を果たすのが、光の印象です。SNSでの集客効果を高めるためには、この視覚心理学の基本を押さえておく必要があります。

🌈 飲食店マーケティングに役立つ色彩心理学の基礎知識

心理学者エヴァ・ヘラーの著書『色彩の心理学』では、色が人間の感情や購買行動に与える影響が体系的に解説されています。飲食店の写真撮影やメニュー設計に直接応用できる知識です。

食欲に特に影響が大きい色は以下の2つのカテゴリーに分類されます:

🔴 売上を伸ばす色:赤やオレンジ(暖色系)

  • 生理的な興奮を高め、消費者の注意を引きつける
  • 活力や温かさを感じさせ、「家庭的」「安心」といった価値を伝える
  • 心拍数や血圧がやや上昇 → 空腹感とリンクする生理反応を促進

これらの色は、本能的に「新鮮」「焼きたて」「エネルギーがある」という印象と結びつきやすく、料理に対してポジティブな反応と購買意欲を引き出します。

実践ポイント

店内の照明やメニュー写真の背景に暖色系を取り入れることで、顧客の滞在時間と注文量が増加する傾向があります。特に夕方以降の時間帯は、暖色系照明が効果的です。

🔵 避けるべき色:青や青緑(寒色系)

  • クール・冷静・沈静化といった感情を誘発
  • 体温が下がるような心理的印象を与える
  • 「自然界の食品に少ない色」であるため、無意識に”食べ物らしくない”と判断されやすい

例えば、青みがかった照明の下で撮影したステーキや、青緑色に見えるご飯の写真は、顧客の食欲を減退させる可能性が高いのです。

「見た目の良さ」と「食欲を刺激する効果」は必ずしも一致しません。アート性の高い写真が必ずしも売上につながるとは限らないのです。

🔬 飲食店経営に役立つ科学的研究:光の色が売上に与える影響

カナダ・ブリティッシュコロンビア大学の研究チームによる実験では、赤色光と青色光の下での食事体験と消費行動の違いについて興味深い結果が報告されています。

研究結果のポイント

  • 赤い光の下では「食事がおいしかった」と感じる人が多く、食事量も平均15%増加
  • 青い光の下では「満腹になるのが早い」「おいしさを感じにくい」と報告する傾向が強く、注文量が平均10%減少

つまり、光の色だけで「味覚や満腹感」にまで影響を及ぼしているのです。この知見は店舗の照明計画やSNS投稿の写真加工において、直接的な売上向上につながる可能性があります。

🏠 なぜ暖色は売れる?消費者心理と記憶の関係

もうひとつ、飲食店マーケティングで見逃せない要素が“記憶”と光のつながりです。

人は、あたたかい光を見ると、過去の体験や感情が呼び起こされやすくなります。特に以下のような記憶との関連性があります:

  • 家庭の食卓の思い出(母の手料理など)
  • 昔ながらの喫茶店や老舗店の雰囲気
  • パン屋さんの温かみのある照明

これらの“安心して食べた記憶”はすべて暖色の記憶として無意識に蓄積されていることが多いのです。

一方で、寒色系の光(オフィスの蛍光灯、病院の照明など)は「緊張感」や「無機質さ」と結びついてしまい、リラックスした食事体験とは相容れない記憶を想起させます。

つまり、暖色の光には「おいしさ+安心+記憶」がセットで内包されているというわけです。これが飲食店のSNS投稿で暖色系の写真が高い反応を得る理由なのです。

🗺 飲食店SNS担当者必見:色温度と感情のマッピング

以下の表は、色温度(光の色味)と、それによって引き出される感情・印象、そして具体的なマーケティング効果をまとめたものです。日々の投稿や撮影の参考にしてください。

色温度のタイプ色味引き出される感情・印象食欲への影響マーケティング効果
暖色(低色温度)赤・橙・黄あたたかい・安心・活発高まる来店意欲向上・注文量増加
中間(中程度)白~黄白ナチュラル・バランス適度幅広い客層に受け入れられる
寒色(高色温度)青・青白クール・清潔・緊張感下がりやすい高級感の演出・回転率向上

店舗タイプ別の推奨色温度

  • ファミリーレストラン・カフェ:暖色系(2700K~3000K)→滞在時間と客単価アップ
  • 高級レストラン:中間~やや暖色(3000K~3500K)→高級感と美味しさのバランス
  • 回転寿司・ラーメン店:中間~やや寒色(3500K~4000K)→清潔感と回転率の向上

✅ 飲食店マーケティングの要点:「おいしさ」は光がつくっている

これまでの内容をまとめると、以下のポイントが浮かび上がります:

  • 人は“見た目でまず食べる”存在であり、視覚マーケティングが売上を左右する
  • 暖色系の光は、生理的・感情的にも「食べたい」につながる科学的根拠がある
  • 色彩心理だけでなく、記憶・文化・体験も食欲と購買決定に影響している

つまり「おいしそう」と感じる要素には、料理そのものだけでなく、光の”演出力”が深く関係しているのです。これを理解し活用することで、効果的な飲食店マーケティングが可能になります。

📌 飲食店のInstagram運用に役立つPart 3予告

ここまでで、食欲を刺激する”光の正体”と科学的根拠についてご理解いただけたと思います。

次回は、いよいよ実践編。スマホだけで簡単にできる料理写真の撮影テクニックなど、即日から売上向上に貢献できる具体的な方法をご紹介します。

引き続き、SNSマーケティングで成功を収めたい飲食店オーナー・担当者の方はぜひご覧ください!

▶ 写真・動画で“選ばれる飲食店”をつくる表現設計の考え方

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