EC新商品の売上を伸ばす!写真と動画で魅せるビジュアル戦略
ECサイトでの新商品リリースは、多大なコストと労力をかけた一大プロジェクトです。しかしその成否は、ユーザーが商品を最初に目にする「わずか数秒」で決まってしまうことをご存知でしょうか。
SNS広告やECサイトのバナーで指を止め、クリックしてもらう。商品ページで「これが欲しい!」と心を動かす。その全てのきっかけは、一枚の写真、一本の動画から始まります。ビジュアルは単なる飾りではありません。新規顧客の心を掴み、既存顧客をファンに変えるための、最も強力な「戦略ツール」です。
この記事ではECにおける新商品リリースを成功に導くための、戦略的な撮影・ビジュアル設計について、具体的な手法と考え方を深掘りしていきます。
目次
なぜECの新商品は「ビジュアル」で9割決まるのか?
「見た目が勝負」という言葉は、ECの世界では精神論ではなく、科学的な事実です。その背景には人間の脳の仕組みと購買心理が深く関わっています。
人は文字の6万倍速く、画像で「価値」を判断する
人間は視覚優位の生き物です。脳はテキスト情報の6万倍もの速さで画像情報を処理すると言われています。ユーザーがSNSのタイムラインを高速でスクロールしているとき、長々とした商品説明文を読んでくれる可能性はほぼゼロ。しかし魅力的で感情に訴えかけるビジュアルは、0.1秒以下で彼らの注意を捉え、指を止めさせることができます。これが「最初の関門」です。
ビジュアルは「機能」ではなく「未来の体験」を売るもの
優れたビジュアルは単に商品の形や色を伝えるだけではありません。顧客がその商品を手に入れることで得られる「理想の未来」や「感情的な便益(ベネフィット)」を伝えます。
- 悪い例:調理器具のスペック(機能)を文字で羅列する。
- 良い例:その調理器具を使って、家族が笑顔で食卓を囲んでいる写真(体験)を見せる。
顧客はドリルが欲しいのではなく、壁に穴を開けたいのです。同様に顧客は調理器具が欲しいのではなく、それを使って「料理が楽しくなる生活」や「家族に褒められる自分」を手に入れたいのです。ビジュアルはその未来を疑似体験させるための最も効果的な手段です。
売上を最大化する!新商品ビジュアルの3フェーズ戦略
新商品のビジュアルは、顧客の購買プロセスに合わせて戦略的に設計する必要があります。「認知」から「購入後の共有」まで、各フェーズで求められるビジュアルの役割は異なります。
【フェーズ1:認知・興味】スクロールを止める「最強の一枚」を設計する
このフェーズの目的は、数多の情報の中からあなたの新商品に気づかせ、興味を持ってもらうこと。SNS広告やバナーで使われる、いわゆる「ヒーローショット」です。
- スイーツギフト:「五感を刺激するシズル感」の演出法 「ときめき」や「贈り物感」を具体的に表現するには、五感へのアプローチが不可欠です。例えば、艶やかなチョコレートがとろける瞬間、いちごの断面から果汁が滲む様子、湯気の立つ焼きたてのパイ。プロのライティングとマクロ撮影を駆使し、「甘い香りまでしてきそう」「口に入れたらどんな食感だろう?」と、見た人の唾液腺を刺激するような「シズル感」を追求します。リボンや包装紙は、そのスイーツが持つストーリー(例:上品、モダン、ナチュラル)を補強する重要な脇役です。
- 調理器具:「理想のライフスタイル」への共感の作り方 商品の無機質な写真だけでは、「私の生活」との接点が見えません。大切なのは、「これを使えば、私の暮らしもこんなに素敵になるかも」という共感と憧れを生むことです。洗練されたキッチン空間に置かれた様子、楽しそうに料理をする人物、そしてその器具で作られた美味しそうな料理が並ぶ食卓。商品の機能性ではなく、それがもたらす豊かなライフスタイルの一場面を切り取ることで、ユーザーは自分自身の生活に商品を投影し始めます。
【フェーズ2:比較・検討】購入の不安を解消し、欲求を高める「情報の可視化」
商品ページにたどり着いたユーザーはより具体的な情報を求めています。ここでのビジュアルの役割は「本当にこの商品は信頼できるか?」「期待通りのものか?」という購入前の不安を取り除き、所有欲を最大化することです。
- 信頼を生む「ディテール(細部)写真」 調理器具であれば、持ち手の質感、素材のアップ、パーツの接合部の丁寧な作り。スイーツであれば、生地のきめ細やかさ、クリームの層の美しさ。細部までクリアに見せる高解像度の写真は、商品の品質に対する自信の表れであり、顧客の信頼に繋がります。
- 期待を裏切らない「サイズ・質感の伝わる写真」 「思ったより小さかった」というクレームはECで最も多い失敗の一つです。商品を手に持った写真や、スマートフォンなど誰もが知るアイテムと比較した写真を加えることで、顧客は正確なサイズ感を把握できます。光の当て方を工夫し、マットな質感、光沢のある質感などをリアルに伝えることも重要です。
- 購入後の使い方を想像させる「HOW-TO動画」 調理器具の実際の使用シーンを15〜30秒のショート動画で見せることで、静止画では伝わらない「使い勝手の良さ」が直感的に理解できます。スイーツギフトなら、箱を開けてからお皿に盛り付け紅茶を淹れるまでの一連の流れを動画にすることで、購入後の幸せなティータイムを鮮明にイメージさせることができます。
【フェーズ3:購入後・共有】ファン化を促し「UGC」を生む仕掛け
良いビジュアル戦略は商品が顧客の元に届いた後も続きます。「買って終わり」ではなく、その体験を誰かにシェアしたくなるような仕掛けがリピート購入と口コミ(UGC:ユーザー生成コンテンツ)を生み出します。
- 「開封の儀」を演出するパッケージング 商品が届き箱を開ける瞬間は、顧客にとって最もテンションが上がるクライマックスです。この「開封体験(アンボクシング)」自体が魅力的であれば、顧客は自らその様子を撮影し、SNSに投稿してくれます。美しいデザインの箱、心のこもったメッセージカード、世界観に合った緩衝材など、パッケージ全体を「撮影されること」を前提に設計しましょう。
- 世界観を共有したくなるブランド体験 季節ごとに変わる限定パッケージや、商品を使ったアレンジレシピを載せた美しいカードを同梱する。こうした工夫は「このブランドは素敵だな」「次の限定品も欲しいな」というファン心理を育てます。顧客があなたのブランドの世界観の一部を担い、自発的な広告塔になってくれるのです。

静止画と動画、どう使い分ける?目的別メディア活用
静止画と動画には、それぞれ得意な役割があります。両方の特性を理解し、戦略的に使い分けることで、ビジュアルの効果は最大化されます。
静止画の役割:「伝える・印象付ける」
- 得意なこと:瞬時に商品の魅力を伝え、記憶に残る「顔」となること。広告バナー、商品一覧ページのサムネイル、雑誌のような美しいイメージカットなど。
- キーワード:第一印象、シズル感、美しさ、憧れ
動画の役割:「体験させる・納得させる」
- 得意なこと:商品の使い方、サイズ感、プロセス、ストーリーを伝え、顧客を疑似体験させ、納得感を醸成すること。商品ページ内の埋め込み、InstagramリールやTikTokなどのSNS投稿。
- キーワード:使用感、ライブ感、ストーリー、信頼性

まとめ:ECのビジュアルは「コスト」ではなく「売上をつくる投資」である
ECにおける新商品のビジュアル戦略は、単に「綺麗な写真を撮ること」ではありません。顧客の購買心理の各フェーズに合わせて、
- 認知・興味段階で、感情に訴え注意を引く。
- 比較・検討段階で、情報を提供し不安を取り除く。
- 購入後・共有段階で、体験を演出しファンにする。
という一貫したストーリーを設計することです。
プロフォトグラファーによる高品質な写真や動画は、目先の「コスト」と捉えられがちです。しかしそれは間違いなく新規顧客獲得、コンバージョン率向上、リピート率向上、そして強固なブランド構築に直結する、極めて費用対効果の高い「売上をつくる投資」です。あなたの新商品をその他大勢の中に埋もれさせないために、今こそ戦略的なビジュアル投資を始めましょう。

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世界が認めたフードフォトグラファー
撮影は、国際的なフードフォトコンペティション「Foodelia International Food Photography Awards」にて、セレクション入りした実績を持つフォトグラファーが担当。
Foodeliaで選ばれるには、料理やスイーツの魅力を最大限に引き出す審美眼と技術力が求められます。国内EC市場においても「ただ美しい」だけでなく、「売れるビジュアル」を目指して撮影を行っています。
よくある質問|FAQ
Q. 商品写真と動画は別々に依頼しないといけませんか?
A. 写真・動画ともにワンストップでも対応可能です。同時撮影で効率的に進めることが可能です。
Q. 動画はどんな形式・長さで納品されますか?
A. ECサイト用(横長)、SNS用(縦長)、どちらもご希望に応じて対応します。長さは15〜30秒を基本とし、リールや広告にも適しています。
Q. 撮影に商品を送る必要がありますか?
A. はい、基本的には撮影拠点に商品をお送りいただきます。恐れ入りますが、送料はお客様にてご負担をお願いしております。
Q. スイーツ以外の商品も対応可能ですか?
A. もちろん可能です。調理器具、食品全般、ギフト商品など幅広く対応しておりますのでお気軽にご相談ください。

名古屋の飲食業界で商品開発や販促に15年携わる。現在はスイーツECを展開しつつ、飲食・EC向けに撮影を通じたビジュアルマーケティングを支援。
食と空間の魅力を引き出すためのブランディングや販促のヒントを発信中。
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