SNSマーケティング初心者必見|「確率思考の戦略論」で学ぶSNS活用法

SNS活用

はじめに:なぜSNSで商品が売れないのか?

SNSを始めたばかりの頃多くの人が同じ壁にぶつかります。「毎日投稿しているのにフォロワーが増えない」「いいねはつくけど売上につながらない」「何を投稿すればいいのか分からない」。

もしかするとあなたもこんな悩みを抱えているのではないでしょうか。

これらの悩みには共通の原因があります。それは「SNSを商品を売る場所」だと考えてしまっていることです。でも実際のSNSの役割は違います。SNSは「お客さんに選んでもらうための準備をする場所」なのです。

この考え方はUSJを劇的に再生させたマーケティングの専門家、森岡毅さんが書いた『確率思考の戦略論』という本から学べます。この本では、売上を「確率の掛け算」として考える画期的な方法が紹介されています。📘 参考書籍: 『確率思考の戦略論』(Amazon)

今回はこの考え方をSNSマーケティングに応用して、「選ばれるブランド」になるための具体的な方法をお伝えします。

SNS活用の前提:「売れる」より「選ばれる」ブランドになる

多くの人が陥る間違い

SNSを始めたばかりの人がよくやってしまうのが商品の特徴やスペックを毎日投稿することです。「この商品はこんなに素晴らしい」「他社との違いはここ」といった内容ばかりになってしまいます。

でも考えてみてください。友達のSNSで毎日同じ商品の宣伝ばかり見たらどう感じるでしょうか。きっと「また宣伝か」と思って、スクロールで飛ばしてしまうはずです。

森岡毅さんが教える「確率思考」とは

森岡毅さんは『確率思考の戦略論』の中で、売上について興味深い表現をしています。

「売上は、買ってもらえる確率の積み上げである」

つまり商品が売れるかどうかは運や偶然ではなく、「お客さんがその商品を選ぶ確率」によって決まるということです。そしてこの確率は努力によって高めることができます。

SNSの役割はこの「選ばれる確率」を少しずつ高めていくことなのです。

「サイコロ理論」で考えるブランドの存在

森岡さんは消費者の心の中には「サイコロがある」と表現しています。何かを買おうと思ったとき、人はこのサイコロを振って、出た目のブランドを選びます。

例えばコーヒーを買おうと思ったとき、あなたの頭に浮かぶブランドは何個ありますか?スターバックス、ドトール、タリーズ、コメダ珈琲…おそらく5〜6個程度ではないでしょうか。

もしあなたのブランドが、この「サイコロの目」に入っていなければ、どんなに良い商品でも選ばれることはありません。SNSの目標はこのサイコロの目に自分のブランドを入れることなのです。

プレファレンス(選ばれる確率)を高めるSNS戦略

プレファレンスとは?

『確率思考の戦略論』では「消費者の脳内にはサイコロがある」と表現されています。
選ばれる確率=そのサイコロの目の数。あなたのブランドが「目」として存在しなければ、そもそも選ばれることはありません。

プレファレンス

森岡さんの理論では売上は次の式で表されます:

売上 = 認知 × 配荷 × プレファレンス

それぞれをSNSマーケティングに当てはめて考えてみましょう。

1. 認知:どれだけの人があなたのブランドを知っているか

認知とはそもそもあなたのブランドの存在を知っている人の数です。どんなに素晴らしい商品でも知られていなければ選ばれません。

SNSで認知を広げる方法

まず大切なのは適切なハッシュタグを使うことです。ただし人気のハッシュタグを適当に使うのではなく、あなたの商品を本当に必要としている人が検索しそうなキーワードを選びます。
例えばハンドメイドアクセサリーを売っているなら、「#アクセサリー」という大きなハッシュタグよりも、「#結婚式アクセサリー」「#オフィスカジュアルピアス」といったより具体的な場面を想像できるハッシュタグの方が効果的です。

また他のInstagramユーザーや地域のインフルエンサーとのコラボレーションも認知拡大に有効です。相手のフォロワーにも自分のブランドを知ってもらえる機会になります。

またInstagramのアルゴリズムに有利に働くように保存率やエンゲージメント率を高めていく工夫も必要です。
参考:Instagramで“保存される”商品写真の工夫3選|EC売上につながる投稿術

2. 配荷:どれだけの接触機会があるか

配荷とは元々は「商品がどれだけの店舗に置かれているか」を意味する言葉です。SNSでは「どれだけの機会で、お客さんと接触できるか」と考えることができます。

SNSで接触機会を増やす方法

Instagramなら通常の投稿だけでなく、ストーリーズ、リール、ライブ配信など様々な機能を使って接触機会を増やせます。それぞれの機能には特徴があり、使い分けることでより多くの人にリーチできます。

ストーリーズは日常的な内容を気軽に投稿でき、親近感を演出できます。リールは多くの人に見てもらいやすく、新しいフォロワーを獲得するのに適しています。ライブ配信はリアルタイムでコミュニケーションが取れるため、既存のフォロワーとの関係を深められます。

投稿のタイミングも重要です。あなたのフォロワーがSNSを見る時間帯に合わせて投稿することで、より多くの人に見てもらえます。

3. プレファレンス:選ばれる理由があるか

プレファレンスとは「選好性」、つまり「数ある選択肢の中からあなたのブランドを選ぶ理由」のことです。これがSNSマーケティングで最も重要な要素です。

SNSでプレファレンスを高める方法

単に商品の機能を説明するのではなく「この商品を使うとあなたの生活がどう変わるか」を伝えることが大切です。

例えばオーガニック化粧品を売っているとします。「天然成分100%」という特徴を伝えるだけでなく、「朝の洗顔後、肌がもちもちして一日中気分が良い」「敏感肌の私でも安心して使えて、メイクのノリが格段に良くなった」といった体験を伝えます。

お客さんは商品そのものではなく、「その商品がもたらす体験や感情」に価値を感じて購入するからです。

エボークト・セットとSNS

エボークト・セットとは何か

エボークト・セットとは、何かを買おうと思ったときに「真っ先に思い浮かぶブランドの集まり」のことです。

例えば「宅配ピザを注文しよう」と思ったとき、頭に浮かぶブランドは何ですか?ピザハット、ドミノピザ、ピザーラなど、おそらく3〜5個程度でしょう。この中に入らないブランドは、どんなに美味しくても選ばれる可能性が極めて低くなります。

SNSでエボークト・セットに入る方法

継続的な接触による記憶の定着

人は接触回数が多いものを記憶し信頼する傾向があります。これを心理学では「単純接触効果」と呼びます。SNSでは定期的な投稿によって、フォロワーの記憶に自分のブランドを定着させることができます。

ただし毎日同じような投稿では飽きられてしまいます。商品紹介、使用例の紹介、お客さんの声、舞台裏の様子など、内容にバリエーションを持たせながら継続することが重要です。

感情的なつながりの構築

人は論理よりも感情で決断し後から理由を考える生き物です。SNSを通じて感情的なつながりを作ることで、選ばれる確率を大幅に高められます。

商品の機能的な価値だけでなく、ブランドの想いや価値観、商品開発の背景にあるストーリーなどを伝えることで、お客さんとの感情的な結びつきが生まれます。

親近感の演出

大企業のような完璧すぎるブランドよりも少し人間味のあるブランドの方が親しみを感じてもらえることがあります。失敗談や苦労話、日常の何気ない出来事などを適度に混ぜることで、「身近で信頼できるブランド」という印象を与えられます。

実践ステップ:明日からできること

  1. ターゲット像を描き直す(誰の生活に入りたいのか)
  2. ブランドの提供価値を言語化する
  3. 発信のフォーマットと頻度を整える
  4. 保存・クリック数などで反応を分析する
実践ステップ

まとめ:「確率」でSNSを再設計する

SNSマーケティングで大切なのは、一発逆転を狙うことではなく「選ばれる確率を少しずつ高めていく」ことです。森岡毅さんの『確率思考の戦略論』が教えてくれるように、売上は偶然や運ではなく、戦略的な積み重ねによって作られるものです。

今日からあなたのSNSも「ただバズることを狙う」のではなく、「お客さんに選んでもらうための準備をする場所」として活用してみてください。認知を広げ、接触機会を増やし、選ばれる理由を作り続けることで必ず結果はついてきます。

まずは小さなことから始めて継続することが何より大切です。あなたのブランドが多くの人に愛される日が来ることを心から願っています。

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