フォロワー277万超え!SNSを「ブランドのエンジン」にする方法:『yutoriに学ぶEC戦略』part5
パート4ではEC主体でありながらyutoriがリアル店舗を戦略的に活用し、体験価値を提供することで成長していること、そして高品質なビジュアルがオンラインとオフラインを結びつける重要な要素であることを掘り下げました。
今回のパート5ではyutoriのもう一つの強力な武器である「SNS活用」に焦点を当てます。彼らはSNSを単なる告知ツールではなく、ブランド成長のエンジンとしてどのように使いこなしているのでしょうか。
目次
なぜSNSが「ブランド成長のエンジン」なのか?
株式会社yutoriはInstagramを中心にSNS上で圧倒的な存在感を放っています。グループ全体のInstagramフォロワー数は、なんと合計277万人を突破しています。この数字は彼らのブランドが多くの人々に支持され、強い影響力を持っていることを物語っています。
yutoriがこれほどまでにSNSを重視し成功している理由はどこにあるのでしょうか?SNSが「ブランド成長のエンジン」となる主な要素は以下の通りです。
- 顧客との直接的なコミュニケーションチャネル: SNSは企業と顧客がリアルタイムで繋がれる場です。コメントへの返信、DMでの問い合わせ対応、ライブ配信での交流などを通じて、顧客はブランドをより身近に感じ、親近感や信頼感が生まれます。ECサイトでは難しい人間味のある双方向の関係構築が可能です。
- 強力なブランディングツール: SNSはブランドの世界観、価値観、そして「らしさ」を視覚的、感覚的に伝えるのに最適なプラットフォームです。yutoriが「各ブランドの担当者が着用画像や動画を撮影しブランドの世界観を表現」しているように 、ブランドに携わる人々の顔が見えるコンテンツは、信頼性を高めブランドへの共感を深めます。一貫したトンマナでの発信は強固なブランドイメージを確立します。
- 新たな顧客発見と獲得: ハッシュタグ検索やプラットフォームの推薦機能を通じて、まだブランドを知らない潜在顧客にリーチする絶好の機会です。魅力的でシェアされやすいコンテンツは、自然な形でブランドの認知度を拡大し、新たな顧客獲得に繋がります。yutoriの巨大なフォロワー数はSNSが集客チャネルとしていかに強力に機能しているかを示しています。
- コミュニティ形成とファン育成: SNS上にはブランドの熱心なファンが集まる、いわゆる界隈と呼ばれるコミュニティが生まれます。顧客自身が商品の写真を投稿したり、ブランドについて語り合ったりするUGC(ユーザー生成コンテンツ)は、他のユーザーの購買意欲を高め、ブランドへのエンゲージメントをさらに深めます。ブランド側がこうしたコミュニティ活動を支援することで、エンゲージメントの高い顧客層を育成できます。

yutoriと成功事例から学ぶSNS活用術
yutoriの事例やEC業界のベストプラクティスを踏まえ、EC事業者がSNSをブランド成長のエンジンとして活用するための具体的な方法を見ていきましょう。
戦略的な計画と一貫性
明確なSNS戦略の策定
誰に(ターゲット顧客)、何を(ブランドメッセージ)、どのように(コンテンツ形式、トーン&マナー)、どのプラットフォームで発信するのかを具体的に定めます。ターゲット層が多く利用しブランドの特性に合ったプラットフォーム(Instagram、TikTok、Xなど)を選び、そこに注力します。
一貫性のあるブランド表現
全てのSNSチャネルでブランドのロゴ、カラー、フォント、そしてコンテンツのトーン&マナーに一貫性を持たせます。これにより顧客はどのSNSを見ても同じブランドイメージを認識し、混乱を防ぎます。
魅力を伝えるコンテンツ力
高品質でクリエイティブなコンテンツ制作
商品の魅力が伝わる高品質な写真や動画は必須です。yutoriのように単なる商品紹介にとどまらず、商品の背景にあるストーリー、製造過程、ブランドに関わる人々の思いなどを伝えるコンテンツは、顧客の共感を呼びます。商品の使い方チュートリアル、スタイリング例、舞台裏の映像なども効果的です。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用
顧客がブランドや商品について投稿した写真や動画はリアリティーがあり、他のユーザーにとって信頼できる情報源となります。顧客の許可を得て積極的に自社のSNSで紹介することで、コミュニティ感を醸成し、ファンを大切にする姿勢を示すことができます。
顧客との関係構築
積極的なインタラクション
顧客からのコメントやDMには迅速かつ丁寧に対応します。質問に答えたりポジティブなコメントに感謝を示したりすることで、顧客は「ブランドから大切にされている」と感じ、エンゲージメントが高まります。
ライブ配信とQ&A
ライブ配信機能を活用し新商品の紹介、コーディネート提案、顧客からの質問へのリアルタイムでの回答などを行います。インタラクティブな企画は顧客のエンゲージメントを飛躍的に高めます。
コミュニティ形成の促進
ブランド専用のハッシュタグを作成したり、ファン向けの限定コンテンツを提供したりすることで、ファン同士が交流できる場を作りコミュニティ感を醸成します。

成果を最大化する仕組み
SNS広告の戦略的活用
オーガニック投稿だけではリーチに限界があるため、ターゲット層に効率的にリーチするためにSNS広告を戦略的に活用します。精密なターゲティング設定を行い、コンバージョン(購買)に繋がる広告運用を目指します。
インフルエンサー/KOLとの連携
ブランドのターゲット層に影響力を持つインフルエンサーやKOLとのタイアップは、認知度拡大や購買意欲向上に有効です。yutoriもインフルエンサーブランドを運営する企業をM&Aするなどその影響力を認識しています 。ブランドイメージと合致するインフルエンサーを選定することが重要です。
ECサイトとの連携強化
SNS投稿からECサイトの商品ページへのスムーズな導線を設計します。Instagram Shoppingのような機能を活用することで、ユーザーはSNSから離脱することなく商品詳細を確認し、購入に進むことができます。SNS限定のプロモーションなどもECサイトへの送客に繋がります。
効果測定と改善
SNS運用に関するKPI(エンゲージメント率、フォロワー数の伸び、ECサイトへの流入数、SNS経由の売上など)を設定し、定期的に効果測定を行います。データに基づきどのようなコンテンツが反応が良いのか、どの投稿が売上貢献に繋がっているのかなどを分析し、SNS戦略を継続的に改善していきます。

SNSを使いこなすための鍵
yutoriの成功事例が示すようにSNSは単なるマーケティングチャネルではなく、ブランドアイデンティティを構築し、顧客と深い繋がりを築き、事業成長を加速させるための不可欠な「エンジン」です。その鍵は単に多くの情報を発信するのではなく、ブランドの世界観を首尾一貫して伝え続けることです。

EC事業者が、競争の激しい市場の中で頭角を現し持続的な成長を実現するためには、SNSを戦略的に活用し、ブランドと顧客、そして顧客同士が繋がる強力なコミュニティを構築することが、これからの戦い方において極めて重要となるでしょう。
次回のパートでは、yutoriが国内での成功をどのように海外に展開しているのか「グローバル戦略」に焦点を当てていきます。
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名古屋の飲食業界で商品開発や販促に15年携わる。現在はスイーツECを展開しつつ、飲食・EC向けに撮影を通じたビジュアルマーケティングを支援。
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