ECグローバル基盤:海外成長の鍵 | サンリオ成長戦略から学ぶpart8

EC ブランディング

グローバル市場での拡大はサンリオの成長戦略における重要な柱の一つです。欧州、北米、アジアといった主要地域で着実に成果を上げている背景には、単なるキャラクター人気だけでなく、海外での事業展開を支える強固な「グローバル基盤」の構築があります。EC事業がグローバル化する今日において、この基盤整備は海外での成功を左右する決定的な要因となります。本連載「サンリオ成長戦略から学ぶ【全9話】」では、サンリオの成長戦略からEC事業者が学ぶべき要素を探求しています。

パート8となる今回は、サンリオの中期経営計画における主要施策の一つである「グローバルでの成長基盤の構築」に焦点を当てます。この戦略がECの越境展開に不可欠なシステム、物流、ローカライズといった基盤整備にいかに繋がるのか、その重要性を解説します。

グローバルでの成長基盤

サンリオが推進する「グローバルでの成長基盤の構築」

サンリオは中期経営計画において、グローバルでのさらなる成長を実現するために必要な基盤の構築を喫緊の課題として捉えています。これは海外展開を強化し、グローバル市場の変化に迅速かつ適切に対応していくための体制を整備することを意味します。

グローバルな視点でのマネジメント体制強化

海外での事業を成功させるためには、地域ごとの特性を理解しつつ、グローバル全体を俯瞰するマネジメント体制が必要です。サンリオはグローバル戦略室の新設などを通じて、本社と海外子会社間の連携を強化し、迅速な意思決定と経営資源の最適な配分を目指しています。ECの海外展開においても、各国の状況を把握し、地域戦略と全体戦略を整合させるグローバルマネジメントは不可欠です。

財務戦略とグループガバナンスの確立

グローバルでの成長投資を適切に行い、かつ健全な事業運営を維持するためには、強固な財務基盤とグループ全体のガバナンス強化が必要です。サンリオは投資委員会の設置などを通じて、規律ある投資判断を行う体制を構築しています。ECの海外展開に伴うシステム投資、物流拠点への投資、マーケティング投資などを効果的に行うためには、明確な財務戦略と各拠点を適切に管理・統制するガバナンス体制が求められます。

グローバル人材の育成と活用

海外市場で事業を展開するには、現地の言語や文化に精通し、グローバルなビジネス感覚を持つ人材が不可欠です。サンリオは「グローバル人材」の育成にも注力しており、これが各地域での事業推進を支える人的基盤となります。ECの海外展開においても、対象国の市場や顧客を理解し、ローカライズや現地でのプロモーションを実行できる人材の確保・育成が成功の鍵を握ります。

成長基盤の構築

ECの海外展開に不可欠なグローバル基盤の要素

サンリオのグローバル成長基盤構築の戦略は、EC事業者が越境ECを展開する上で必要となる具体的な基盤要素を考える上で参考になります。

クロスボーダーEC対応システム

海外の顧客に商品を販売するためには、多言語・多通貨対応が可能なECサイトシステムが必要です。さらに、現地の主要な決済手段(クレジットカード、電子マネー、現地独自の決済方法など)に対応できる機能も不可欠です。利用者が快適にショッピングできるUI/UXも対象国の文化や慣習に合わせてローカライズする必要があります。サンリオが中国で現地プラットフォームとの連携を進めているように、対象国で主流となっているECプラットフォームへの出店も有効な戦略の一つです。

効率的な国際物流ネットワーク

海外顧客への配送は国内配送とは比較にならないほど複雑です。通関手続き、輸送料金、配送リードタイム、現地の配送業者の質など、考慮すべき点が多岐にわたります。サンリオが物流体制強化のために倉庫増床を行っているように、ECの海外展開においても、信頼できる国際物流パートナーの選定、戦略的な倉庫配置、配送状況を追跡できるシステムの導入など、効率的かつ安定的な国際物流ネットワークの構築が不可欠です。これにより迅速かつ正確な配送を実現し、顧客満足度を高めることができます。

地域に最適化されたローカライズ

単にウェブサイトを翻訳するだけでなく、商品情報、マーケティングメッセージ、サイトデザインなどを現地の言語、文化、商習慣に合わせて最適化(ローカライズ)することが重要です。サンリオが各地域のニーズに合わせた現地デザインやクリエイティブを強化しているように、ECサイトも対象国の顧客にとって魅力的で、かつ信頼できると感じられるようにローカライズすることで、コンバージョン率の向上に繋がります。

現地の顧客サポート体制

海外の顧客からの問い合わせに対応するためには、対象国の言語でのカスタマーサポート体制が必要です。時差も考慮し、顧客が困った時にタイムリーなサポートを受けられるようにすることで、顧客満足度を高めることができます。FAQの整備や、チャットボットの導入なども有効です。

法規制と税務への対応

ECの海外展開においては、対象国の消費税や関税、個人情報保護規制、特定商取引に関する法律など、様々な法規制や税務に対応する必要があります。これらの要件を満たし法令遵守を徹底することは、信頼性の高いECサイト運営の基盤となります。

データ分析と改善体制

海外ECサイトのパフォーマンスを継続的に改善していくためには、アクセス解析や販売データなどを詳細に分析する体制が必要です。地域ごとの売上傾向、顧客の行動パターン、プロモーションの効果などを分析し、データに基づいた改善策を実行していくことが、海外での成功確率を高めます。

ECの海外展開に不可欠なグローバル基盤

まとめ

サンリオが中期経営計画で「グローバルでの成長基盤の構築」を掲げていることは、ECの海外展開においても同様に、事業を支える強固なインフラストラクチャと体制の重要性を示唆しています。多言語・多通貨対応システム、効率的な国際物流、地域に最適化されたローカライズ、現地の顧客サポート、そして法規制への対応といった基盤整備は越境EC成功の鍵となります。

まとめ

サンリオがグローバル市場で着実に成長しているように、EC事業者もこれらのグローバル基盤を戦略的に構築・強化することで、新たな海外市場での顧客獲得と売上拡大を実現し、グローバル企業としての成長軌道に乗ることができるでしょう。次回パート9では、ECの未来としてサンリオの収益多角化戦略からその可能性を探ります。

サンリオ成長戦略から学ぶ【全9話】

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