スイーツECで売上を伸ばすための撮影テクニック
── 現場で実践している“伝わる写真”の設計術
スイーツの魅力は、写真に大きく依存します。
甘い香りも、しっとりした食感も、口どけのよさも、すべて目で想像してもらわないといけない。だからこそスイーツECにおいて「撮影」は単なる記録ではなく最重要のマーケティング要素と考えます。
今回は実際に私が撮影業務で活用している「スイーツの撮影ノウハウ」を、構図・光・小物・レンズ・SNSの5つの視点から具体的に解説します。

目次
1. 【構図】「引き」と「寄り」を使い分ける
スイーツ撮影において、最も重要なのは「サイズ感」と「おいしさ」を同時に伝える構図設計です。
▸ 「引き」の構図で伝えるべきもの
- 商品の全体像(箱やパッケージ含む)
- 食卓の中のワンシーン(使用シーン)
- ギフトとしての“贈る印象”
構図例: 斜め45度のアングル/3分割構図/背景に余白を持たせる
▸ 「寄り」の構図で伝えるべきもの
- 質感(チョコのとろみ/断面/焼き目)
- トッピングや細部のこだわり
- シズル感(湯気や粉糖のきらめき)
構図例: 真上/真横/マクロ/断面ショット
☑ ポイント:EC商品ページには“引き”→“寄り”の順番で掲載すると、第一印象から詳細への流れが自然になります。
2. 【光】自然光+白レフ板の基本をおさえる
「光」が変われば、同じ商品でも“印象”がガラッと変わります。
▸ スイーツに最適な光は?
- 自然光(窓際のやわらかい光)+白レフ板
- 午前中~14時ごろの、太陽が高すぎない時間帯がベスト
- 曇りの日のほうが拡散光で色が綺麗に出ることも
▸ 避けたいのは…
- 直射日光(影がきつくなる/色が飛ぶ)
- 蛍光灯ミックス(色温度が崩れる、光の量が足りていれば電灯は消すことを推奨します)
☑ 補足Tips:白レフ板を「90度の角度」に立てると、影を自然に和らげて、スイーツの色と立体感が美しくなります。
3. 【小物】「商品より目立たないもの」しか置かない
スタイリングでありがちな失敗が「おしゃれすぎて主役が埋もれる」こと。
スイーツは繊細なビジュアルなので小物は空間を整える“引き立て役”に徹しましょう。
▸ 小物の選び方のコツ
- トーンを1~2色に絞る(例:ベージュ×白、グレー×木)
- 質感は布・陶器・木製を選ぶと温かみが出る
- 季節感のある素材(紅葉、桜、ドライオレンジなど)を添えると印象が変わる
☑ 注意:「美しい器」や「おしゃれなカトラリー」を使うほど、主役が霞むこともあるのでバランスが大事。
4. 【レンズ】105mmマクロレンズで“質感の説得力”を出す
スイーツの撮影では、質感や立体感が勝負です。
105mmマクロレンズは、細部のディテールまで逃さず、美味しさの“リアリティ”を画面越しに届けることができる私の一押しのレンズ。
▸ なぜ105mmマクロなのか?
- シズル感が飛び出すように写る
- 背景がしっかりボケる
- 距離を取れるので商品に圧迫感が出ない
▸ 活用ポイント
- クッキーや焼き菓子は「接写」で質感強調
- ギフトボックスは「少し引き気味」でパッケージと中身の関係性を見せる
- 焦げ目やトッピングは「開放F2.8~F4」で立体的に表現
☑ 注意点:構図が窮屈になりやすいので、小物や背景はシンプルに。
5. 【SNS投稿】「撮る」だけでなく「活かす」
撮った写真はどのチャネルでどう出すかも重要です。
特にInstagramでは「保存したくなるかどうか」が反応の分かれ目です。
▸ スイーツ投稿で保存されやすい内容
- レシピ風の分解写真(材料+完成+使い方)
- 季節の演出(母の日・バレンタイン・夏限定など)
- 開封シーン→並べる→一口食べる、の短尺動画
☑ CTAを自然に入れる:「ECサイトはプロフィールから」よりも「〇〇とセットで販売中」と入れると興味が続きます。
まとめ:スイーツ撮影は「五感をどう補うか」の設計
スイーツのEC販売では、味・香り・食感・サイズ感という“体験”を、すべて視覚で表現しなければなりません。
- 構図でストーリーを作る
- 光で質感を引き出す
- 小物で空気感を整える
- レンズで情報を整理する
- 投稿設計で届け方までデザインする
この5つを意識するだけで、「映える写真」ではなく「伝わる写真」に変わっていきます。
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名古屋の飲食業界で商品開発や販促に15年携わる。現在はスイーツECを展開しつつ、飲食・EC向けに撮影を通じたビジュアルマーケティングを支援。
食と空間の魅力を引き出すためのブランディングや販促のヒントを発信中。