ECブランディングの数理戦略|プレファレンス×ビジュアルで選ばれる確率を最大化する

EC ブランディング

はじめに:「選ばれにくくなった時代」に必要な視点

本記事は森岡毅氏の著書 『確率思考の戦略論――どうすれば売上は増えるのか』 に着想を得て構成しています

この書籍で語られる「売上はプレファレンス(選好確率)で決まる」という考え方は、 今まさに差別化が難しくなっているEC事業者にとって非常に有効な戦略視点です。

音声でも詳しく解説!

EC市場が成熟し誰でもオンラインで商品が売れるようになった今、 「いい商品をつくれば売れる」時代ではなくなってきました。 実際、SNS広告を回しても伸びない、写真を頑張ってもCVしない——そんな声が多く聞かれます。

そんな中で注目されているのが“選ばれる確率=プレファレンス”という考え方です。 感覚やセンスだけに頼らずデータと構造を味方につけて「選ばれやすくする」ことが、これからのECブランディングには欠かせません。

プレファレンスの重要性

1. プレファレンス=「選ばれる確率」の仕組み

1-1. 人は確率で動いている

私たちは日々、無意識にたくさんの選択をしています。 その選択は思っている以上にランダムで、でも傾向がある。 つまり「目に入ったもの」「なんとなく良さそうなもの」に、自然と手が伸びるのです。

この「なんとなく選ばれる確率」=プレファレンスは、ポアソン分布やガンマ分布といった確率論で説明されることもありますが、 ざっくり言えば、「印象に残っている」「わかりやすい」「信頼できそう」なブランドが勝つということ。

ビジュアル資料

1-2. ビジュアルが確率を上げてくれる

ここで重要なのがビジュアルの力です。 ECでは商品に触れることも話を聞くこともできません。 だからこそ、見た目の印象=すべてなんです。

一貫したトーン、統一された構図、ブランドらしい世界観—— これらがきちんと整っていると、それだけで「信頼されやすく」「記憶に残りやすく」なります。

一貫したトーン

2. プレファレンスを高めるビジュアルの考え方

2-1. 感覚に頼らない“仕組み化”

「どんな写真が売れるのか?」を勘や好みに任せていませんか? ここではあえて、感覚を排除して、次の3つのポイントに絞りましょう。

  1. ユーザーの脳が心地よいと感じる構造:余白、視線誘導、情報の順序など
  2. 選ばれる確率をA/Bテストで検証:ファーストビューや構図の違いを実験
  3. 意思決定を数値で判断:スクロール率、滞在時間、CTRなどを指標に

2-2. 写真・動画・LPの改善アイデア

  • 写真:背景・小物の世界観を整える。使っている“手”が映ると◎
  • 動画:15秒以内で「誰の、何のための」商品かがわかる構成
  • LP:「導入→理解→共感→行動」のストーリー構造をビジュアルで設計

どれも“見た目”で終わらせないことがポイントです。 ユーザーの気持ちになって「自分がこの商品に惹かれるか?」を確率として考えてみてください。

データ分析

3. 成功・失敗は「撮り方と見せ方」に宿る

3-1. 実際に成果が出たブランドの例

D2Cのある食品ブランドでは、手元のカットを多用したビジュアル構成に変更したことでLPのCVRがアップ。 その背景には、ヒートマップ分析やファーストビューの動画構成見直しといった、数理的な検証の積み重ねがありました。

3-2. うまくいかないときの典型パターン

  • 感覚的に「映える」写真だけを並べてしまう
  • 撮影者によってトーンや構図がバラバラ
  • 商品説明に頼りすぎて、視覚で語れていない

これでは“選ばれる確率”が上がりません。 むしろ、印象に残らない=選ばれないという結果になってしまいます。

まとめ:確率設計の起点に「良い撮影」がある

ECにおいて「売れる写真」は偶然ではありません。 ブランドの世界観に沿った構図、色、背景、手の写り方…… それらがすべて“選ばれる確率”を高めるための要素です。

感覚から抜け出してきちんと設計されたビジュアルへ。 その第一歩は、意図のある整った撮影から始まります。

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