飲食店のメニュー写真・見せ方の心理学 パート2

飲食店 撮影

飲食店のメニュー写真・見せ方の心理学

異なる好みを持つお客様への対応

パート1の振り返り:前回の記事では、多くのお客様が「食べているシーン」や「中身がはっきりわかる」料理写真を好む理由を解説しました。人の脳は他者の食事を見ると自分も食べたくなり、不確かさより確かさを好み、食感が伝わる写真から具体的な味を想像することがわかりました。

「パッケージ状態」の写真を好むお客様の心理

お客様タイプ別の特徴と対応法

一方で食べているシーンではなく完成された状態を好む方も25%見受けられました。お店のコンセプトやターゲットによってどちらが効果的か見極める必要があります。

発見を楽しむお客様

「何が出てくるかな」というワクワク感を大切にする人たちです。彼らにとって、料理の「開封の瞬間」は食事体験の重要な一部です。

対応策:コース料理の一部をサプライズにする、箱や器に入れた状態で提供し、テーブルで開ける演出を加えるなどが効果的です。抹茶風味のデザートなら、閉じた状態の和菓子箱で提供し、お客様自身が開ける喜びを演出しましょう。
想像力豊かなお客様

メニュー説明から自分の理想の料理をイメージするのが好きな人たちです。料理名や説明文から想像を膨らませることを楽しみます。

対応策:料理の説明に詩的な表現や物語性を加え、想像の余地を残すことで満足度が高まります。「山の恵みを詰め込んだ一皿」「祖母の味を現代風にアレンジ」といった表現が効果的です。
美しさを重視するお客様

料理が崩れていない、完璧な状態の美しさを重視する人たちです。Instagram映えする料理の見た目を特に重視します。

対応策:提供直前までの状態を保つ工夫や、テーブルでの仕上げパフォーマンスなどが喜ばれます。美しい盛り付けとともに、器や盆など、提供方法にもこだわりましょう。
シンプルさを好むお客様

余計な情報や刺激を好まない、本質を重視する人たちです。料理そのものの質や素材の良さを見極めたいと考えています。

対応策:洗練された盛り付けと、シンプルながら質の高い素材を強調するメニュー説明が効果的です。「〇〇産の新鮮な△△を使用」といった素材そのものの価値を伝える表現を心がけましょう。
食文化に詳しいお客様

料理の背景や伝統的な提供方法を重視する人たちです。その料理の正統性や歴史的背景に関心があります。

対応策:料理の由来や伝統的な食べ方の説明を添えることで、知的好奇心を満たし満足度が高まります。メニューカードに簡単な由来や地方性を記載したり、スタッフが説明できるようにしておきましょう。
個性を重視するお客様

定番メニューではなく、珍しいものや限定品を好む傾向があります。他の人と違う選択をすることに価値を見出します。

対応策:「シェフのおすすめ」や「本日限定」など、特別感のある表現でメニューを紹介すると効果的です。季節限定メニューや数量限定メニューを設けることで、特別感を演出しましょう。
食事の儀式を楽しむお客様

料理を食べるまでのプロセスを大切にする人たちです。料理の準備や提供方法そのものを体験の一部として楽しみます。

対応策:焼き物や鍋料理など、食べる過程が楽しめる料理や、テーブルでの演出が加わるサービスが喜ばれます。フランベやカッティングサービスなど、目の前でのパフォーマンスを取り入れましょう。
期待感を楽しむお客様

料理が出てくるまでの時間を楽しみにする人たちです。「どんな料理が来るのだろう」というワクワク感自体を楽しみます。

対応策:前菜や食前酒などで期待感を高め、メインディッシュへの期待を膨らませる構成が効果的です。コース料理の場合、次の料理の軽い予告をすることで期待感を高めましょう。
伝統を重んじるお客様

本格的な料理法や伝統的な提供方法を評価する人たちです。格式や作法を大切にします。

対応策:料理の正統性や伝統的な調理法をアピールすることで、信頼感と満足度が高まります。「〇〇地方の伝統手法」「昔ながらの製法」といった表現を用いるとよいでしょう。
自分のペースを大切にするお客様

急かされることを嫌い、自分の時間で食事を楽しみたい人たちです。料理を味わう時間を自分でコントロールしたいと考えています。

対応策:時間制限のないサービスや、提供タイミングの柔軟性を持たせたコース構成が適しています。「お好きなタイミングでお召し上がりください」と伝え、次の料理の提供タイミングを確認する配慮が喜ばれます。

実践ポイント

  • メニューや写真の一部は「パッケージ状態」も用意し、多様なお客様に対応しましょう
  • 料理の説明には、素材の質や調理法だけでなく、背景やストーリーも加えましょう
  • お客様の反応を観察し、どのタイプが多いかを把握しておくと効果的です
  • スタッフ教育では、様々なタイプのお客様対応を練習しておきましょう
  • SNSや口コミサイトでのお客様の反応から、好みのパターンを分析しましょう

▶ 写真・動画で“選ばれる飲食店”をつくる表現設計の考え方

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