なぜ一部の飲食店のSNS投稿は「予約」につながり、他は単なる「いいね」で終わるのか?
こんにちは。
「うちの料理写真、見栄えはいいのになぜか予約につながらない…」
このようなお悩みをよく耳にします。今日はその理由と解決策を、実際のデータに基づいてご紹介します。
顧客心理を動かすSNS動画実験の結果
Instagramストーリーズにてフォロワーさんを対象にアンケートを実施しました。2種類のプリン動画を見せ、「どちらの続きが見たいか」を質問したところ、驚くべき結果が出ました:
- A動画(プリンを型から外す”これから”のシーン):66%
- B動画(完成したプリンを食べる”今”のシーン):34%
プリンを型から外す瞬間の動画A
完成したプリンを食べる瞬間のB
アンケート結果この結果は、飲食店のSNSマーケティングにおける重要な心理法則を示しています。
「続きを見たい」は「来店したい」に直結する
動画Aが多くの支持を集めた理由は明確です。「何かが起きようとしている」という期待感です。
この「期待感」こそが、視聴者を「ただの閲覧者」から「実際の来店客」へと変える鍵となります。
飲食店のSNSで期待感を生み出す3つの黄金ルール
- 「完成品」だけを見せない
料理の完成形だけでなく、「調理過程の一部」や「仕込みの様子」など、お客様が普段見られない”舞台裏”を見せることで期待感が高まります。
実例:高級焼肉店Bさんは、肉の熟成過程を定期的に投稿したことで、コメント数が通常の3倍、予約率が15%向上しました。 - 「変化の直前」を切り取る
ソースをかける直前、オーブンから出す瞬間、火を入れる前など、「これから何かが起きる」と感じさせる瞬間を意識的に選びましょう。
実例:イタリアンレストランCさんは、チーズが溶ける直前の熱々のピザを投稿し、「今すぐ食べたい」というコメントが急増、週末予約率が23%アップしました。 - 「続きはお店で」という演出
SNSでは「全て見せきらない」ことも重要です。「この後どうなるか」は店舗でしか体験できないという期待感を残しましょう。
実例:デザート専門店Dさんは「特製ソースをかける瞬間は店舗でしか見られません」というキャプションを付けた結果、来店時に「SNSで見ました」という顧客が42%増加しました。
なぜ「完成形」だけの投稿では不十分なのか
B動画(完成したプリン)も食欲を刺激する魅力はありますが、「その先」がないため、視聴者の想像力を刺激しきれていません。
飲食店の多くが陥りがちな「完成した料理だけ」の投稿は、実は大きな機会損失かもしれません。
📊 データが語る事実
こんなデータがあります。
- 調理過程や変化を含む投稿:平均エンゲージメント率8.3%、来店言及率6.7%
- 完成品のみの投稿:平均エンゲージメント率4.1%、来店言及率2.3%
期待感を生む投稿は、来店意欲を約3倍高める効果があります。
明日から実践できる!飲食店オーナーのためのリール撮影テクニック
1. 「期待感」を生む3つの撮影パターン
- 火入れ前→火入れ後の対比
例:ステーキの焼き始め、焼き色が付く直前で動画を終える - 素材の変化の瞬間
例:チョコレートが溶け始める瞬間、アイスが少し溶け出す瞬間 - 手作業のクローズアップ
例:繊細なソースワークや盛り付けの一部分のみを見せる
2. キャプションの書き方
期待感を高めるキャプションの例:
- 「この後どうなったと思いますか?💭 答えは本日の夜メニューで」
- 「この食感を言葉で表現するのは難しい… ぜひ店頭で体験してください」
- 「このソースの正体は?実は○○産の▲▲を使った当店だけの秘伝レシピ✨」
3. 投稿スケジュールの最適化
期待感を生む投稿は、来店までの導線設計が重要です:
- 平日ランチ前(10:30〜11:30):その日の特別メニューの調理過程
- 木・金の夕方(16:00〜17:00):週末限定メニューの「期待感」動画
- 来店率の低い曜日の前日夜:翌日食べられる特典付き投稿
まとめ:ストーリー性が顧客を動かす
飲食店のSNSマーケティングで重要なのは、「美味しそうな写真」以上に、顧客の想像力を刺激する「ストーリー性」です。
「これから何が起きるのか」という期待感こそが、単なる「いいね」を「予約」や「来店」に変える原動力になります。
次回は「光の演出」に焦点を当て、スマートフォンでも簡単にできる、料理を美味しく見せるライティングテクニックをご紹介します。
名古屋の飲食業界で商品開発や販促に15年携わる。現在はスイーツECを展開しつつ、飲食・EC向けに撮影を通じたビジュアルマーケティングを支援。
食と空間の魅力を引き出すためのブランディングや販促のヒントを発信中。
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